労働者死傷病報告の書き方と記入例|2025年電子申請義務化に対応【建設業】
現場で労働災害が起きて作業員が休業したときは、労働基準監督署へ労働者死傷病報告を提出しなければなりません。
2025年1月からは電子申請が義務化され、報告する項目の書き方も変わりました。
このページでは、労働者死傷病報告の提出期限や書き方を、建設業の記入例を使ってわかりやすく解説します。
報告に必要な情報を事前に整理できるExcelの作成準備シートも無料で配布しています。
労働者死傷病報告とは
労働者死傷病報告とは、労働災害などで労働者が死亡または休業したときに、事業者が所轄の労働基準監督署長へ提出する報告書です。
労働安全衛生規則第97条で提出が義務付けられています。
提出しなかったり、虚偽の内容を報告したりすると、いわゆる「労災かくし」として罰則の対象になります。
建設業では誰が提出するのか
労働者死傷病報告を提出するのは、被災した労働者を雇用している事業者です。
下請の作業員が被災した場合は、その作業員を雇っている下請の会社が提出します。
報告書には元方事業場(元請)の名称も記入するため、元請と連携して内容を確認しながら作成しましょう。
労災保険の請求とは別の手続き
労働者死傷病報告は、労災保険の給付を受けるための請求書とは別の手続きです。
治療費や休業補償の請求をしていても、死傷病報告の提出が不要になるわけではありません。
休業4日以上と4日未満で様式と提出期限が異なる
労働者死傷病報告は、休業の日数によって提出の方法と期限が分かれています。
| 区分 | 様式 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 死亡または休業4日以上 | 様式第23号 | 遅滞なく |
| 休業1日以上4日未満 | 様式第24号 | 四半期ごとにまとめて提出 |
休業4日未満の災害は、次の期間ごとにまとめて報告します。
| 対象期間 | 提出期限 |
|---|---|
| 1月〜3月 | 4月末日 |
| 4月〜6月 | 7月末日 |
| 7月〜9月 | 10月末日 |
| 10月〜12月 | 翌年1月末日 |
配布しているExcelの「休業4日未満一覧」シートでは、発生日を入力すると対象期間と提出期限が自動で表示されます。
2025年1月からの主な変更点
2025年(令和7年)1月1日から、労働者死傷病報告の制度が次のように変わりました。
電子申請が義務化された
休業4日以上・4日未満のどちらの報告も、電子申請が原則になりました。
電子申請が難しい場合に限り、当分の間は書面での報告も認められています。
報告事項の書き方が変わった
- 事業の種類、被災者の職種、傷病名・傷病部位、国籍・地域・在留資格は、該当するコードから選ぶ方式になった
- 災害発生状況及び原因の欄が5つに分かれ、項目ごとに記入する形式になった
- 略図は手書きではなく、イラストや写真などのデータを添付する扱いになった(手書きの略図を撮影したデータでも可)
- 休業4日未満の報告事項が、休業4日以上と同じ内容になった
電子申請は入力支援サービスが便利
厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」を使うと、画面の案内に沿って報告書を作成できます。
作成した内容はそのままe-Govから電子申請でき、入力内容を保存して再利用することも可能です。
スマートフォンからの申請にも対応しています。
労働者死傷病報告の書き方
入力支援サービスで報告書を作るときに迷いやすいポイントを、項目ごとに解説します。
事前に情報をそろえておくと入力がスムーズに進むので、作成準備シートを活用してください。
労働者死傷病報告 作成準備シート(Excel)
作成準備シート・記入例・休業4日未満一覧の3シート入り
事業場と被災者の情報
事業場の名称、所在地、労働保険番号、事業の種類、労働者数などを入力します。
建設業の場合は、元方事業場の名称と工事の情報も確認しておきましょう。
被災者については、氏名、生年月日、性別、職種、経験期間、派遣労働者かどうかを確認します。
外国人の作業員が被災した場合は、国籍・地域と在留資格も必要です。
災害発生状況及び原因(5つの欄)
最も重要なのが災害発生状況及び原因の欄です。
次の5つの観点に分けて、第三者が読んでも状況がわかるように具体的に書きます。
| 欄 | 書く内容 |
|---|---|
| ① | どのような場所で |
| ② | どのような作業をしているときに |
| ③ | どのような物又は環境に |
| ④ | どのような不安全な又は有害な状態があって |
| ⑤ | どのような災害が発生したか |
「転んでけがをした」のような書き方では、原因や再発防止につながりません。
設備の状態や作業方法の問題点など、災害につながった事実を具体的に記入しましょう。
傷病名・傷病部位と休業見込期間
傷病名と傷病部位は、医師の診断にもとづいて該当するコードを選びます。
休業見込期間は、診断書や医師の見立てをもとに記入します。
記入例(脚立からの転落による骨折)
型枠大工が脚立から転落し、右手首を骨折して約30日休業した場合の記入例です。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| ① どのような場所で | 3階床スラブ上の型枠組立て箇所において |
| ② どのような作業をしているときに | 脚立(高さ1.2m)の天板に乗って型枠の端太材を取り付けていたところ |
| ③ どのような物又は環境に | 脚立の天板から |
| ④ どのような不安全な又は有害な状態があって | 脚立の開き止めを掛けておらず、身を乗り出した際に脚立がぐらついて |
| ⑤ どのような災害が発生したか | バランスを崩して床に転落し、右手を突いて右手首を骨折した |
作成準備シートの記入例シートでは、事業場・被災者の情報や再発防止対策まで記入しています。
自社の事故報告書として社内で共有する際にも使えます。
労働者死傷病報告 作成準備シート(Excel)
報告に必要な情報を事前に整理するためのExcelシートです。
- 作成準備シート:事業場・被災者・災害の情報、災害発生状況(5欄)、再発防止対策を1枚に整理
- 記入例シート:脚立からの転落による骨折の記入例
- 休業4日未満一覧:発生日を入れると対象期間と提出期限を自動表示
- 休業日数を入れると、報告の区分(様式第23号・第24号)と提出期限を自動で判定
このシートは入力準備と社内記録のためのものです。
正式な報告は、厚生労働省の入力支援サービスやe-Govから行ってください。
労働者死傷病報告 作成準備シート(Excel)
作成準備シート・記入例・休業4日未満一覧の3シート入り
現場での災害対応とあわせて準備したい書類
まとめ
労働者死傷病報告は、休業4日以上なら遅滞なく、4日未満なら四半期ごとに提出します。
2025年1月からは電子申請が原則となり、災害発生状況を5つの欄に分けて書く形式に変わりました。
災害が起きたら作成準備シートで情報を整理し、元請と連携して早めに報告しましょう。



