国土交通省、全国の下水道管を一斉調査へ ー 埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて
国土交通省は、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、有識者委員会の2回目の会合を開き、全国の下水道管を一斉に調査する方針を決定しました。
全国の下水道管を一斉調査へ
調査対象の下水道管は、道路陥没が発生しやすい条件や社会的影響を考慮して選定されます。
通常の点検では使われない空洞調査や非破壊検査などの新技術を活用し、効率的な調査を進める計画です。
すでに、八潮市の事故現場と同様の大規模な下水道管がある7都府県では緊急点検が行われ、埼玉県内の3カ所で腐食が確認されました。
今回の全国一斉調査では、こうした緊急点検の対象をさらに広げ、市町村が管理する下水道管の実態も把握します。
3日の会合では、設置から40年以上経過した下水道管で道路陥没が増えていることが報告されました。
特に、勾配が大きい場所や急カーブの部分では腐食が進みやすいため、これらの条件をもとに調査対象を絞り込みます。
また、管の埋設深さや地盤の状態も考慮し、陥没のリスクが高い箇所を優先的に調査します。
調査の進め方として、下水道管理者は既存の資料をもとに対象となる管を選定し、調査計画を作成。
調査員が入れない管にはテレビカメラを使った検査を行います。
異常が見つかった場合は、空洞調査や非破壊検査を実施し、詳細な状況を把握する予定です。
有識者委員会の委員長である政策研究大学院大学の家田仁特別教授は、「地方自治体が納得できる、実現可能な調査にしたい」とコメントしました。
次回の会合(3月11日)で調査方法が決定され、法定点検の見直しや維持管理の制度改革についても議論される予定です。
最終報告は今春にまとめられます。
埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故とは?
2025年1月28日午前10時頃、埼玉県八潮市の県道松戸草加線中央一丁目交差点付近で道路が陥没し、トラックが転落する事故が発生しました。
この陥没は、中川流域下水道の下水道管の破損が原因と考えられています。
事故により、トラックの74歳の男性運転手が行方不明となっています。
運転席部分は、陥没現場から約30メートル下流の下水道管内で発見されましたが、下水道管内での作業は困難を極めており、埼玉県は下水を迂回させるバイパスの整備を計画しています。
バイパスの完成には約3カ月を要する見込みです。
事故現場周辺では、通行止めや迂回路の設定などの交通規制が実施されています。
通行規制の期間は、下水道管のバイパス工事(約3カ月)と下水道本管の復旧工事の期間を予定しています。
草加・三郷方面へ通行する場合は、周辺の県道や国道4号、国道6号、国道298号などの広域迂回路の利用が推奨されています。
なお、避難区域と警戒区域は2月19日に解除され、一時避難所として開設されていたエイトアリーナも閉所されました。