通常工事で遠隔施工が拡大。積算基準の作成を国交省が検討

遠隔施工の通常工事への拡大と積算基準の整備へ

国土交通省は、これまで災害復旧現場を中心に活用されてきた遠隔施工を、通常工事にも本格的に導入する方針を打ち出しました。

その一環として、2025年度から遠隔施工に対応した積算基準の作成を検討します。

まずは、地方整備局の技術事務所が所有する遠隔操作対応の建設機械を貸し出す形での活用を想定しており、オペレーターの安全確保や働き方改革、労働環境の改善を目的としています。

今後、試行工事を随時実施し、その課題を検証する予定です。

遠隔施工の現状と今後の展開

遠隔施工とは、オペレーターが直接建機に搭乗せず、遠隔操作によって作業を行う技術です。

これまでは、土砂災害や火山災害など、オペレーターが二次災害に巻き込まれる恐れがある現場での活用が中心でした。

しかし、国交省は遠隔施工が現場の省人化にも寄与すると考え、「i-Construction 2.0」の主要施策の一つに位置付け、通常工事への導入拡大を進めています。

この方針に基づき、2026年度にかけて発注・監督・検査に関する基準を順次整備し、2028年度までに遠隔施工の適用範囲を明確にする指針を策定する予定です。

2024年度の取り組み状況

2024年度は、直轄工事の土工全般を対象とした発注者向けの試行要領案を作成し、試行工事を推進するための環境整備を進めました。

特に、これまでも一部で遠隔施工が導入されていた直轄の砂防工事では、施工者や監督職員向けの遠隔施工要領案を策定し、さらなる普及を促進しています。

遠隔施工対応の建機貸与と積算基準の整備

地方整備局の技術事務所では、災害対応を想定して遠隔施工に対応した建機を保有しています。

2025年度以降は、こうした建機を貸し出す仕組みを想定した積算基準の作成を検討し、通常工事での活用拡大を図ります。

また、近年では、必ずしも災害対応を目的としない通常工事向けの遠隔施工機器の販売やレンタルが進んでいます。

そのため、国が所有する建機の貸与だけでなく、市場価格を反映した積算基準の導入も今後の課題となります。

遠隔施工技術の進化と通信環境の整備

従来、遠隔施工はオペレーターが建機を視認できる範囲での作業が中心でした。

しかし、通信技術の進化により、遠隔施工可能な距離が大幅に拡大しています。

例えば、北陸地方整備局の「大河津分水路山地部掘削その23他工事」では、現場から約30キロメートル離れた受注会社の本社からバックホウの遠隔操作を実施しました。

遠隔施工をより広範に導入するためには、現場の通信環境も重要な要素となります。

現在、固定回線(光回線)だけでなく、通信衛星やモバイル回線を活用する例もあり、低遅延かつ高品質な映像伝送が可能な回線やデータ伝送技術の選定が求められています。

今後の指針作成と遠隔施工の普及

国交省は今後、直轄工事における遠隔施工の実施状況をもとに、施工会社、システム提供会社、建機メーカーへのアンケートを実施し、遠隔施工用の通信環境整備に関する指針を策定する予定です。

施工環境に応じた適切な通信手段を整理し、遠隔施工の導入を促進するための参考資料を作成します。

遠隔施工の通常工事への適用が広がることで、作業の安全性向上や労働環境の改善、省人化による生産性向上が期待されます。

今後の技術進化や制度整備の動向が注目されます。


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