建設業法変更2020解説その3 | 工期の適正化 | 第十九条関係

建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律が令和元年6月5日に成立し、6月12日に公布されました。

そして、令和2年10月に施行されます。

その内容を説明しています。

今回は「工期の適正化」についてです。

建設業法変更2020解説その3 | 工期の適正化 | 第十九条関係

改正内容

三 請負契約における書面の記載事項の追加建設工事の請負契約における書面の記載事項に、工事を施工しない日又は時間帯の定めに関する事項等を追加するものとすること。(第十九条関係)

四 著しく短い工期の禁止

1注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないものとすること。(第十九条の五関係)
2国土交通大臣等は、発注者が1に違反した場合において特に必要があると認めるときは、当該発注者に対して勧告することができるものとし、その者が当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができるものとすること。(第十九条の六関係)

解説

働き方改革を進めるためにも無理な工期設定をしないようにするための法案です。

週休2日とか言っていますが、そもそも工期が短ければ絵に描いた餅でしかありません。

 

「工事を施工しない日又は時間帯の定めに関する事項等を追加する」については問題ないと思いますが、問題は「著しく短い工期の禁止」についてです。

著しく短い工期をどのように判断するのか?というのがポイントです。

で、国交省では、

「著しく短い工期であるかどうかについては、工事の内容や工法、投入する人材や資材の量などに依るため一律に判断することは困難」

としたうえで、

  • 休日や雨天など、中央建設業審議会において作成した工期に関する基準で示した事項が考慮されているかどうかの確認
  • 過去の同種類似工事の実績との比較
  • 建設業者が提出した工期の見積りの内容の精査

などを行い、許可行政庁が工事ごとに個別に判断するとしています。

さらに工期を設定する際に考慮すべき定性的な事項として、

  • 自然的要因(多雪、寒冷、多雨、強風等)
  • 休日(週休2日、祝日、年末年始、夏期休暇等)
  • 用地買収や建築確認、道路管理者との調整
  • 工事場所の周辺環境、近隣状況及び規制等
  • 仮設工作物の設置、資材及び機器の製作期間、調査、測量等
  • 地下水及び地下埋設物の存在
  • 掘削土の搬出
  • 養生期間
  • 受電の時期
  • 設備の総合試運転調整
  • 官公署の完了検査
  • 工事の完成検査
  • 仮設工作物の撤去、清掃等
  • 過去の同種類似工事の実績
  • 工事別の特性を考慮

を盛り込むことを想定しているとのこと。

出典:https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001310001.pdf

これらによって工期の適正化が図られるということです。

改正法

(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
一~三 (略)
四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
五~十六 (略)
(著しく短い工期の禁止)
第十九条の五 注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い工期とする請負契約を締結してはならない。
(建設工事の見積り等)
第二十条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
2・3 (略)
(工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供)
第二十条の二 建設工事の注文者は、当該建設工事について、地盤の沈下その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、建設業者に対して、その旨及び当該事象の状況の把握のため必要な情報を提供しなければならない。

 

「工期の適正化」は実現可能なのか?

短い工期の設定で問題となるのは

  1. 発注の時点で短い工期設定(発注者側の問題)
  2. 元請もしくは上位下請の時点で短い工期設定(元請、上位下請側の問題)

の2パターンかと。

1の場合は元請が「通報」、2の場合は下請が「通報」することになります。

でも、正直「著しく短い工期」と言われても、どのくらいなのかイメージがわきません。

中央建設業審議会が基準を出すのは分かりますが、実際に著しく短い工期に該当するのか、受けた側が判断するのは難しいのではないでしょうか?

 

中央建設業審議会の基準をもとに適正と思われる工期を提示したところで、

「このくらいの工期は普通だよ。これで出来ないのは仕事ができないからだ」

「そもそも発注者(または元請等)からの工期設定が無茶なのでそんなこと言われても」

とか言われる可能性もあります。

 

まぁ、そうなったら「通報せよ」ということかもしれませんが、そんな通報したら「もうあそこには仕事依頼しない」ともなりかねません。

そこはちゃんとフォローできる仕組みがあるのでしょうか。

しかも、以下のフロー図によると、発注者側からも「元請が短い工期で下請けと契約している疑われるときも通報」となっていますが、まず、そこをチェックする仕組みがないですし、もし、あったとしたら通報するより指導すべきだと思いますが。

まずは、標準工期というものを明確にして、そこから大きく外れるものに対しては、ペナルティを与えるという仕組みを「通報なくして」実現する方法を考えて欲しいと思いませんか?

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