直轄工事で賃金、労働時間を把握する取り組みが試行

国土交通省は、2025年度から直轄工事において、技能者に支払われた賃金、労働時間、下請け業者に支払われた労務費を把握する取り組みを試行することを決定しました。

この試行は、発注者が指定した工事を対象とし、受注者が希望した場合にのみ実施されます。

対象となるのは、元請けが選んだ工種に従事した技能者です。

この取り組みは、技能者の賃金ダンピングを抑制し、技術力を競う健全な競争環境を作り出すことを目的としています。

調査される内容

具体的には、試行工事では受注者が選んだ工種の技能者を対象に、以下の情報が調査されます。

  1. 施工期間中に支払われた賃金の総額
  2. 他の工事現場を含めた総労働時間
  3. 該当工事で実際に作業した時間
  4. 技能者を雇用している企業に支払った労務費

これらの情報は、下請け業者から発注者に直接提出されます。

特に、技能者の賃金や労働時間については、技能者全員に支払われた賃金の合計額や労働時間の集計が求められます。

なお、個人が特定されないようにプライバシーには十分配慮し、賃金台帳などをもとに集計が行われます。

この方法により、技能者の引き抜きなどへの不安を軽減し、下請け業者側の抵抗感を和らげることが期待されています。

元請けがすること

元請け業者は、技能者が作業に従事した時間や労務費を集計し、発注者に提出します。

労働時間の集計は、出退勤データや出面表、工事日報などを活用して行います。

また、労務費については、元請けが下請けに支払った金額を注文書や見積書をもとに把握し、技能者の作業時間と突き合わせることで、労務費が適切に分配されているかを確認します。

試行工事の狙い

試行工事を通じて、技能者の賃金や労働時間、作業時間、労務費を可視化することが狙いです。

これにより、建設業界における生産性の向上が期待されます。

また、公共工事においては、予定価格以下で受注することが求められていますが、この取り組みによって、労務費のダンピングを抑え、技術力や生産性の向上を競う環境が整備されることを目指しています。

最終的には、技能者の労働環境の改善と、より透明で公正な競争を促進することが期待されます。


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