国土交通省 週休2日工事を全工事対象に!建設業も週休2日が現実的に?
国土交通省(以下国交省)は2019年度に港湾空港以外の直轄工事※で取り組んだ週休2日工事の実施状況をまとめ、さらに建設業の働き方改革への取り組みを進めると言っています。
本当にそんなことができるのでしょうか。
※直轄工事とは、国が決定し、実行する事業で、道路、河川・ダム、港湾などの事業の事を指しています。
国土交通省 週休2日工事を全工事対象に!建設業も週休2日が現実的に?
2019年度の週休2日への取り組みですが、速報レベルでは、
- 約8,000件を週休2日工事として公告
- 約4,500件で実施
で約56%(対公告比)の工事で週休2日を実施という結果が出ています。
なんと、週休2日工事として公告した工事の半数以上の現場で週休2日が実現されてきているということになります。
そして、2020年度は災害復旧など除いた原則すべての工事を週休2日対象工事として発注するとのことのですので、さらに週休2日の現場が増えてくると思います。
※2019年の工事総件数は9,000件中あり、週休2日対象工事として発注したのは8,000件だったので、週休2日工事の発注自体は89%にとどまっていたようです。
国交省の週休2日工事への取り組み
もともと、国交省は週休2日の推進に向けて、
- 工期設定支援システムの導入
- 準備期間・後片付け期間の見直し
など、さまざまな取り組みを展開しています。
例えば、2018年度は
- 労務費
- 機械経費(賃料)
- 共通仮設費
- 現場管理費
に現場閉所の状況に応じ補正係数を掛け必要経費を計上しています。
さらに、週休2日を実施した工事を工事成績評定で加点評価するといった施策を講じてます。
2019年度はこれまで対象外だった維持工事などで「週休2日交代制モデル工事」の試行を開始して現場に従事したすべての技術者、技能者の休日確保の状況に応じて労務費を補正することを行っています。
2018年と2019年の週休2日工事の比較
2018年と2019年の比較が以下です。
2018年 | 2019年 | 前年度比 | |||
全工事件数 | 約8,000件 | 約9,000件 | 約1,000件増 | ||
週休2日対象工事 | 6,485件 | 81% (全工事に対する週休2日対象工事) |
約8,000件 | 89% (全工事に対する週休2日対象工事) |
8% UP |
週休2日実施工事 | 3,129件 | 39% (全工事に対する週休2日実施工事) |
約4,500件 | 50% (全工事に対する週休2日実施工事) |
11% UP |
2018年から2019年にかけて工事自体が約1,000件増えていて、対象工事も9割近くに引きあがっています。
その結果、実施工事も全工事に対して5割程度まで引き上げられている状況だと思います。
2020年はどうなるのでしょうか。
2020年度の週休2日工事の発注
2020年度は災害復旧など除いた原則すべての工事を週休2日対象工事として公告するとしています。
2024年4月から建設業でも時間外労働の罰則付き上限規制が適用されるため、遅くても2024年度には週休2日工事の実施を原則化する方針です。
この波は遅かれ早かれすべての工事に打ち寄せてくるでしょう。
今現場で聞こえてくる声は
- 「週休2日なんて夢のまた夢」
- 「週休2日なんかしてたら工事がすすまねえ」
- 「食っていけなくなるから週休2日は困る」
というものがほとんど。
でも、時代は変わってきています。
こんなことを言い続けて何もしないでいると、波に乗れずに沈没なんてことにもなりかねません。
- 管理側の人間であれば「どうすれば週休2日でも結果が出せるか?」
- 作業員側であれば「週休2日でも食べていける方法」
を模索しないとこれからは厳しくなっていくのではないでしょうか。