国土交通省「一人親方化」への対処を本格化。社保加入・労働規制逃れ抑制へ

国交省は社保加入、働き方改革による長時間労働規制逃れのための一人親方化対処に踏み込んでいきます。

国土交通省「一人親方化」への対処を本格化。社保加入・労働規制逃れ抑制へ

以前から言われている「一人親方化」に対して国交省は取り組みを強化していく方向性を出してます。

一人親方は個人事業主となるため

  • 法令上の社会保険の加入義務
  • 年次有給休暇の取得義務
  • 時間外労働の罰則付き上限規制

が適用されません。

もともと、一人親方として建設業を営んでいる場合はなんら問題ありませんが、上記のような規制から逃れることを目的として、本来であれば従業員として雇用すべき技能者を一人親方として働かせている場合があります。

これが「一人親方化」というわけです。

ここに対して国交省はストップをかけようとしているという話です。

国交省の行う一人親方化への対処とは

「建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会」という協議会がありますが、その協議会の下部組織として「建設業の一人親方問題に関する検討会」というものが新設されました。

この「建設業の一人親方問題に関する検討会」には

  • 蟹澤宏剛 芝浦工業大学教授
  • 水町勇一郎 東京大学教授
  • 川田琢之 筑波大学教授

の3名と、建設業団体からは

  • 元請団体
  • 専門工事業団体
  • 全国建設労働組合総連合(全建総連)

など計15団体の参画が予定されています。

職種ごとに一人親方化の実態を把握し偽装請負の疑いがある一人親方の基準明確化、規制逃れを目的とした一人親方化の抑制対策を議論、検討していくのがこの組織の目的。

具体的な動きはその議論後、ということになるのだと思いますが、とりあえず国交省が2019年に一人親方化を防ぐためのリーフレット(宣伝用などの、折りたたみ式の印刷物)を作成しているので、それの配布を加速させたりはするのだと思います。(まぁ、これはこの検討会とは別ラインの話かもしれませんが)

一人親方側から言うことができるのか?

国交省のこの偽装一人親方を抑制するための動きですが、実際に「一人親方化」の流れを抑制できるのでしょうか。

そもそも、社会保険加入の義務付けによる法定福利費の負担から逃れるために、企業側は一人親方化を進めています。

それを受けて、下請けが出す見積もりに法定福利費を上乗せして出すことが義務化され、ちゃんと「その法定福利費分は請求してよいのですよ」という流れはできたと思いますが、一旦一人親方化した技能者があらためて雇用しなおされているかは疑問です。

さらに、有給取得、時間外労働の罰則と企業側には厳しい規制が降りかかります。

仮に技能者本人がリーフレットを見て自分は「労働者」だからと、「社員にしてください」と企業側に言ったとしても、それを企業側が受け入れるかもわかりません。

それにそういう立場(偽装一人親方)だと、下手なことを言えば仕事がなくなってしまうリスクすらあるのではないかと。

 

よって、

一人親方から言うのは無理なんじゃない?

と思いますけど。

 

社保、そして労働規制が強まる中での一人親方化の抑制は、「一人親方」として働いている側ではなく、そのような、規制逃れ(ある意味施策)をとっている企業側へのアプローチを強力にしないとだめなんでしょうね。

一人親方化を抑制する仕組みとは

一人親方化の動きはいわば、企業が自社を守るために考えられた施策ともいえると思います。

労働者を多く抱えた方がリスクになるから、ということからであれば、逆に労働者を多く抱えた方がメリットが大きい施策を打ち出せば多くの偽装一人親方は労働者として雇い入れられる可能性が出てきます。

 

「建設業の一人親方問題に関する検討会」に参加している教授って誰?

今回新設された「建設業の一人親方問題に関する検討会」に参加している教授についてちょっと調べてみました。

蟹澤については、建設業がらみの経歴がありますが、水町さん、川田さんについては労働法、労務系側に造詣が深い人のようですね。

蟹澤宏剛

芝浦工業大学 工学部 建築・土木学群 建築工学科

主な著書に「建設業 社会保険未加入問題Q&A,建設通信新聞社,2012年」があります。

水町勇一郎

東京大学社会科学研究所 教授

法学者で専門分野は労働法。

川田琢之

筑波大学 法科大学院 ビジネスサイエンス系 教授

主な研究対象は公務員法など。

「労働時間性―労働法学の立場から〔探究・労働法の現代的課題」

 

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