統括安全衛生責任者とは?講習や資格が必要なのか

 

統括安全衛生責任者とは

「統括安全衛生責任者」とは、建設業や造船業などの特定事業において、元請け事業者(特定元方事業者)の作業現場で、元請け従業員と下請け事業者(関係請負人)の従業員が同じ場所で作業することにより発生する労働災害を防止するために設けられる立場です。

複数の事業者が関わる現場では、それぞれの事業者の安全管理体制が異なるため、作業員間での情報共有や安全対策の連携が不足し、事故のリスクが高まります。

そこで、現場全体の安全管理を統括し、関係者間の調整を行う役割として、統括安全衛生責任者が配置されます。

統括安全衛生責任者は、元請け事業者の従業員だけでなく、下請け事業者の従業員も含めた現場全体の安全確保に責任を持ち、具体的な業務内容としては、現場の安全点検や危険予知活動の実施、作業方法の改善提案、安全教育の実施などが挙げられます。

法律では、建設業や造船業といった特定事業において、元請け事業者と下請け事業者の従業員を合わせて50人以上が同じ場所で作業する場合は、統括安全衛生責任者の選任が義務付けられています。

統括安全衛生責任者は、現場の安全を守る上で非常に重要な役割を担っており、その役割を果たすためには、関係法令や安全衛生に関する専門知識、現場経験などが求められます。

統括安全衛生責任者の選任

建設工事現場における安全衛生管理の要となる「選任」について解説します。

工事の種類や規模によって、現場の安全を守るために必要な役割を担う人材を選任することが法律で定められています。

大規模な建設工事現場、具体的には従業員数50人以上(トンネル工事、橋梁工事、圧気工法の場合は30人以上)の場合、労働安全衛生法により「統括安全衛生責任者」の選任が義務付けられています。

一方、比較的小規模な建設工事現場(おおむね労働者数10~49人規模)では、必ずしも統括安全衛生責任者の選任は義務付けられていません。

しかし、このような現場でも安全衛生管理体制の確立が求められており、「統括安全衛生責任者に準ずる者」を選任することが推奨されています。

統括安全衛生責任者に準ずる者は、大規模現場における統括安全衛生責任者と同様に、現場全体の安全衛生管理を統括する役割を担います。

関係請負人との連絡調整や、現場巡視による危険防止措置の徹底など、現場の安全を確保するために重要な役割を担います。

統括安全衛生責任者の職務

建設工事における安全衛生管理の重要性が高まる中、大規模な建設現場においては、統括安全衛生責任者の設置が義務付けられています。

統括安全衛生責任者は、元方安全衛生管理者を指揮し、現場全体の安全衛生管理状況を統括する重要な役割を担います。

具体的には、協議組織の設置・運営、作業間連絡調整、作業場所の巡視、関係請負人が行う従業員の安全衛生教育への指導・援助、機械設備の配置計画作成、そして関係法令に規定された措置に関する指導などを行います。

これらの業務を通して、統括安全衛生責任者は、建設現場における労働災害の防止に大きく貢献しています。

統括安全衛生責任者は資格が必要?

統括安全衛生責任者になるために、特別な免許や資格、講習の受講は必要ありません。

ただし、「建設現場においてその事業の実施を統括管理する者」であることが求められます。

具体的には、常時50人以上の従業員が働く建設現場で、事業全体の指揮を執る現場責任者が、統括安全衛生責任者を兼務することが一般的です。

多くの場合、これは「現場事務所長」に該当します。

つまり、現場において実質的な指揮権限を持つ担当者であれば、統括安全衛生責任者を務めることができ、特別な資格は求められません。

ただし、建設業では、労働災害の発生率が高いという現状があり、労働者の安全と健康を守ることは企業にとって重要な課題です。

特に、大規模な建設現場では、多くの作業員や重機が稼働するため、より高度な安全衛生管理体制の構築が求められます。

そのため、現場全体の安全衛生を統括する「統括安全衛生責任者」の役割が非常に重要になります。

法律では、統括安全衛生責任者に選任するための特別な資格要件は設けられていません。

しかし、その役割と責任の重大性を鑑みると、専門的な知識や経験を持つ人材を選任することが望ましいといえます。

具体的には、「統括安全衛生管理に関する教育」を受講した者から選任するよう努めることが重要です。

また、公共工事の入札においては、総合評価方式による評価項目の一つとして、統括安全衛生責任者の講習受講の有無が設定されている場合があります。

さらに、入札参加資格申請においても、講習受講が主観点の加点評価項目となるケースも少なくありません。

このように、統括安全衛生責任者の教育は、労働災害の防止だけでなく、企業の受注活動にも大きく貢献する可能性を秘めています。

まとめ

統括安全衛生責任者について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

統括安全衛生責任者は、現場の安全管理や労働災害防止のために非常に重要な役割を担っています。

その業務は多岐にわたり、現場の巡視や作業員の安全教育、リスクアセスメントの実施など、現場作業員の安全確保に欠かせないものばかりです。

また、下請け業者との連携や安全書類の作成・管理など、事務的な業務も多く発生します。

このように、統括安全衛生責任者の業務は多岐にわたり、負担も大きいため、業務効率化が求められます。


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