建設業法変更2020解説その1 | 許可基準の見直し | 第七条関係
建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律が令和元年6月5日に成立し、6月12日に公布されました。
そして、令和2年10月に施行されます。
その内容を説明しています。
今回は「許可基準の見直し」についてです。
目次
建設業法の一部改正
「許可基準の見直し」の内容
建設業の許可基準のうち、五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者を置くこととする基準を、建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合することに改めるものとすること。
(第七条関係)
解説
この変更は経営業務管理責任者に関する規制の合理化を図るものです。
現行法では
イ 許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
ロ 国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
が要件となりますが、
「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。」
のみになります。
「国土交通省令で定める基準に適合する者」でなければなりませんが、現行法よりも門戸は広がります。
「国土交通省令で定める基準に適合する者」は後ほど説明しますが、まずは現行法と改正法の違いがこちらです。
建設業法 第七条 許可の基準【現行法】
(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
ロ 国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
建設業法 第七条 許可の基準【改正法】
(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
第一項も変わっていますが、イとロががっつりなくなっていることが分かります。
国土交通省令で定める基準に適合する者とは?
そして、「国土交通省令で定める基準に適合する者」についてですが、
国交省では、
「個人の経験によって能力を担保していたこれまでの考え方を見直し、組織の中で経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有することを求めることとする。」
としています。
具体的には以下の①、②の両方を満たす者となります。
①建設業に係る経営業務の管理を担当する常勤の役員として、以下のいずれかの者を置くこと。
(1) 建設業の経営に関する経験を5年以上有している者(これは従来の「経営業務管理責任者」に該当します)
- <同一工種>・役員等5年 ・執行役員等5年 ・経営業務補佐経験6年
- <他工種> ・役員等6年
(2) 建設業の経営に関する経験又は管理職の経験を通算5年以上有している者(これは経験の拡大となります)
(3) 建設業以外の業種の経営に関する経験を5年以上有している者(これは対象業種の拡大となります)
(1)は現行法の内容とほぼ同じですが、(2)と(3)でそれぞれ経験と対象業務が拡大されたわけです。
なお、(2)、(3)の場合は、役員を補助する者の配置が必要になります。
「役員を補助する者の配置」とは、建設業の経営業務を補佐してきた経験を有する者等を役員の補助者として相応の地位に配置することです。
②適切な社会保険に加入していること
健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、建設業者がその加入義務が課されている保険に加入しているものであること。
※ただし、従業員が4人以下の事業者であり、厚生年金への加入義務がないなど、加入が義務となっていない保険について加入している必要はありません。
社会保険についてはすでに加入しているはず(?)なので、あんまり問題にはならないと思います。
まとめ
建設業許可を取るためには、建設業の経営に関する経験が必須でしたが、建設業の管理職や建設業以外の経営に関する経験があれば取得することができるようになる、ということですね。