建設業の賃金基準が変わる!CCUSレベル別年収を活用した新方針とは?
国土交通省は、改正建設業法に基づき、建設技能者の処遇向上を目的に「適正な賃金」の判断基準として建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル別年収を活用する方針を示しました。
目次
方針の概要
CCUSレベル別年収を判断基準の基本とする
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- 技能者の能力・経験に応じた賃金の目安として使用
- 2023年度に作成した支払い状況を基準とする
- 業界全体で賃上げを促進
「目標水準」としての位置付け
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- 実際の賃金水準より高いため、行政が確認する際は柔軟に運用
- CCUS能力評価の普及状況も考慮
建設Gメンの監視強化
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- 賃金台帳を確認し、法令違反の疑いがある場合の対応
- 労務費が適正に賃金として支払われているかのチェック
- ダンピング受注による賃金圧迫の防止
今後の課題
「あるべき水準」の模索
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- 既存の水準にとらわれず、中長期的に検討
労務費の適正な活用の確認
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- 企業の受け取った労務費総額と技能者に支払った賃金の整合性をチェック
この方針により、建設業界全体で賃上げを促進し、技能者の適正な処遇確保を目指すとのことです。
この内容から受けた印象・感想
賃上げ促進に向けた一歩
CCUSレベル別年収の公表は、若者へのキャリアパス提示や能力・経験による正当な評価に繋がり、技能者の定着やモチベーション向上に直結する施策と感じました。
行政からの目標提示と現場裁量のバランス
「目標水準」として柔軟に運用する姿勢は、地域差・産業構造の違いを考慮する上で現実的。ただし、行政側と企業側の乖離・解釈が発生すると現場混乱の恐れもあります。
監視強化によるメリットと懸念
建設Gメンによる監視は法令順守の後押しになる反面、現場にとっては業務負担増にもなり得る。労務管理体制の構築が急務になるでしょう。
今後の方向性が問われる
「本来のあるべき賃金水準」は今後の検討テーマ。短期的には指標で済んでも、中期・長期的には業界実態を反映した調整が必要だと感じます。
まとめ
CCUS年収指標の導入は、日本の建設業界にとって前例のない「見える化」の第一歩です。
技能者の能力向上に報いる仕組みとしての効果が期待できる一方、行政主導による賃金基準の導入には、地域・業態に応じた柔軟かつ効果的な制度設計が求められます。
監視強化とセットになった賃金指標がどのように現場に浸透し、定着していくか。
今後の業界の行方が非常に気になります。